佐渡沖、夜の闇の中を懸命に舵をとる御用船「回風丸」。真紅の蝙蝠が乱れ飛び、黒装束の集団が船上に踊り込んできた。逃げ惑う番入たちを打ち殺しては海へ投げ込んでいく。血の海となった船内に延金が鈍く光っている…。御用船沈没の噂は、あっという間に江戸中に広まり、金を買い集める人でごった返していた。そんな折、主水に鎌イタチの元締おむらから裏の仕事の依頼が来た。金座後藤家の妻・千勢が御用船の乗組の者たちの仇をとって欲しいという。頼み料は五百両。だが主水らは、うま過ぎる話とおむらの強引なやり方が気に入らず、仕事を蹴ってしまう。数日後、無宿人どもを始末したおむらたちが、紅蝙蝠を自在に操る黒装束の集団・地獄組に襲われる。次々に殺されていくおむらの配下たち――。