購入
新しい街 ヴィル・ヌーヴ
2018年
76分
HD
2ch
440円〜
シェア
見どころ
アメリカ、そして世界中が分断の悲劇に引き裂かれるなか、多様性の国として近年脚光を浴びるカナダ。その文化的首都モントリオールから、長編アニメーションの新たな傑作が誕生した。全編が紙と墨絵で作画された本作が、白・黒・グレーの美しい色合いと成熟した映画言語によって語るのは、かつてのロマンスを取り戻そうとしながら、理想と現実のあいだで引き裂かれていくジョゼフとエマという中年夫婦の物語だ。 本作のインスピレーションとなっているのは短編の名手レイモンド・カーヴァーによる隠れた傑作小説『シェフの家』。離婚した元カップルーー過去に引きずられる男と未来へと目を向ける女ーーの再会と再度の別れを淡々と描き出す20ページほどの短編は、その舞台を独立に向けての住民投票を迎える1990年代のカナダ・ケベック州におけるカップルの物語へと移し替えられることで、壊れた愛を再生しようとしてすれちがうカップルのロマンティックな物語でありながらも、世界中で高まる独立や排外運動の機運が高まる近年の世界情勢をも含意し、ポエティックに切り取る現代的な寓話へと、大胆な変貌を遂げることになる。 監督は本作が初めての長編アニメーション作品となる新鋭のアニメーション作家フェリックス・デュフール=ラペリエール。ドキュメンタリーや実験映画も手掛ける監督がアニメーションの現代的な可能性を追求した本作は、白と黒を基調とするデザインが可能にする「スーパーインポーズ(重ね合わせ)」を映像的手法として有効に活用することで、個人と国家の運命が共鳴しあう「独立」をめぐる物語をエモーショナルに語る。シンプルなのに奥深い映像美に加え、アニメーションにはこれまでになかった成熟したテーマをこれまでに稀有な手法で語る本作は、アヌシー、ザグレブといった世界的なアニメーション映画祭でのコンペティション上映はもちろんのこと、ベネチア映画祭の「ヴェニス・デイズ」部門でプレミア上映されるなど、アニメーションのみならず映画界でも高い評価を受ける必見作である。
詳細情報
1995年、モントリオール。英仏二言語が公用語の国カナダにおいて、フランス語圏であるケベック州ーーモントリオールはその文化的首都であるーーでは、英語圏からの独立運動が盛り上がりを見せ、歴史上二度目となる独立投票が行われることとなった。賛成票が50%を超えれば、ケベック州は晴れてカナダから独立を果たすことになる。 運動が盛り上がりを見せるなか、アル中の詩人ジョゼフは、何度も酒を絶とうとするがなかなかうまくいかない。妻であるエマにも愛想を尽かされ、離婚してしまった。創作活動も全く進まない。ジョゼフは辛い現実から逃れるがごとく、ガスペ半島にある海沿いの街「ヴィル・ヌーヴ」へと向かう。そして、友人に甘え、空いていた持ち家を借り、さらには金までも工面してもらった。実はその家は、かつてジョゼフがエマと蜜月の日々を過ごした思い出の場所なのだ。 ジョゼフと別れたエマは、物書きの仕事で細々と生計を立てていた。彼女はジョゼフとは違い、未来をポジティブに捉えていた。自分自身の作品と胸を張れる詩のような短編小説を出版したばかりの彼女のもとに、ある日ジョゼフから電話がかかってくる。思い出の地ヴィル・ヌーヴに暮らしに来ないかと言うのだーーすでに禁酒にも取り組んでいるという。 息子ユリスに引き止めれたエマだったが、ヴィル・ヌーヴへと車を走らせる。再会する2人。ジョゼフに必要とされていることを感じ取ったエマは次第に、また新たな関係を築き直すことができるのかもしれないと思いはじめる。しかし、独立を占う住民投票の日、ジョゼフは家を出ていくように頼まれる。それに対し、怒り狂うジョゼフ。エマはこれを機に新たな場所で二人の人生を始めようと提案するが、ジョゼフは耳を貸さない。 ジョゼフを見捨てたエマは、モントリオールへと戻る。その車内で、住民投票の結果を知るーーわずか1%の差で、独立賛成派が勝ったというのだ。ジョゼフもまた何かを思い立ったかのようにモントリオールへと向かう。ジョゼフ、エマ、ユリス。それぞれの思いを抱え、三者はモントリオールに集う。彼らは果たして、どのような決断をするのだろうか?
字幕:日本語音声:英語(2ch)
予告編
この作品に最初のレビューを書いてみませんか?
他のユーザーにあなたの感想を伝えましょう