晋王・李定国(り・ていこく)は、清国に寝返った呉三桂(ご・さんけい)の軍勢に取り囲まれていた。今まさに明王朝の灯火が消えようとするなか、彼は皇太子の誕生に国家存続の望みをかけ、兵たちに城壁の死守を命じる。明の皇帝・朱由榔(しゅ・ゆうろう)も「赤子が娘なら、自らあの世へ旅立つ」と覚悟を決め、世継ぎ誕生の知らせを待っていた。やがて響いた運命の産声―皇后に付き添う侍医・樊離(はん・り)の腕の中には、女の赤子がいた。樊離はすぐさま赤子を連れて晋王妃のもとへ向かうと、直前に誕生した王子との交換を要求。こうして“偽りの皇太子”は皇帝とともに、城外へと逃げ延びたのだった。一方、呉三桂の攻め入った城内に残された“明朝最後の公主”は…。